東京大学ソーシャルテックスタートアップ アクセラレータープログラム

東京大学 ソーシャルテックスタートアップ アクセラレータープログラム 2026 Spring Batch


東京大学ソーシャルテックプログラムは、従来の営利型の事業では解決できない『受益者負担が困難な社会課題』に対して、ソフトウェアを活用した新しい解決策を模索する東京大学の学生のみなさんを支援するプログラムです。

【概要】
本プログラムでは、受益者負担の難しい社会課題(下記に例あり)をソフトウェアを使って解決しようとする、東京大学に在籍する正規課程学生(学部学生、大学院学生)の方々向けに、以下の期間で講義等を行い、活動場所を提供します。

期間:2/12 (木) ~ 3/26 (木)
日時:毎週木曜 18:30 ~ 20:00

プログラムへの思い

プログラム担当の馬田です。これまで約 10 年、営利のハイグロース・スタートアップの支援に携わってきました。これまで、スタートアップ向けのスライドを公開しているほか、『未来を実装する』『解像度を上げる』『仮説行動』などのスタートアップ向けの書籍も発刊しています。

この10年、スタートアップという言葉が注目され、多くの起業家がソフトウェアを使った課題解決に取り組み、その努力のおかげもあって多くの課題が解決されてきました。有名で尊敬される起業家も生まれてきていますし、起業は身近になりました。
しかし、課題が解決されたがゆえに、学生でも挑戦できる事業領域は、10年前と比べると相対的に少なくなりつつあるように思います。そして新しく事業機会が生まれてきても、社会人の起業家が押し寄せるようになり、ビジネス領域での起業の競争環境はかつてよりも激しくなりました。
その結果、学生の皆さんが事業に挑戦をすることで得られるはずの、優れた学びの機会も減少しつつあります。

一方で、貧困、格差、コミュニティなど、ビジネス(営利目的の事業)では解決しづらい課題は未だ社会に残り続けています。そうした課題は従来、NPO などの非営利の事業で解決が試みられてきましたが、新たな社会課題も続々と出てくる中では、解決が追いついているとは言いづらい状況です。
逆に言えば、そこには解決を待っている課題がたくさんあるということです。

希望も生まれてきています。生成 AI 等のソフトウェアの進歩によって、多くの人がソフトウェア開発に取り組めるようになりました。これまで十分に取り組まれていなかった社会課題領域に、新しい発想と解決策を持ち込めるようになりつつあります。
そしてこうした課題は、学生の皆さんだからこそ取り組む価値があるようにも思います。こうした課題の解決に取り組むことで、社会への貢献ができると同時に、社会に対する学びを多く得られるはずだからです。

そこでこの度、これまでの営利のスタートアップの方法論を社会課題の領域に応用し、さらに生成 AI 等の開発ツールを用いながら解決を試みる、新たなプログラムを開始することになりました。
そうした課題解決の挑戦をする学生の方が増えることを通して、この領域から新しい時代の英雄が生まれてくることを願っています。

―― 馬田 隆明

応募について

2026 年 1 月 12 日 (月) 23:59 (JST) 締切

g.ecc.u-tokyo.ac.jp のメールアドレスでログインしたブラウザで開いてください

応募アイデアを考えるワークショップ

プログラムへの参加を検討中の方向けに、取り組む社会課題やソーシャルテックのアイデアを考えるオンラインワークショップを開催いたします。

アイデアを考えるオンラインワークショップ
1/9(金)19:00-20:30

皆様のアイデアの壁打ちに加え、アイデアがないという方にはこちらよりアイデアをご提示いたします。
準備は不要ですので、本プログラムにご関心のある方はお気軽にご参加ください。

参加希望の方は以下のフォームよりご登録をお願いいたします。

説明会

12/22 (月) に実施した説明会
12/22 に実施した説明会の録画を掲示しています。応募を検討されている方はぜひご覧ください。

応募条件

  • 東京大学に在籍する正規課程学生(学部学生、大学院学生)である個人、もしくはその個人が主要なリーダーである、最大 4 人までのチーム
  • 特別の理由がない限り、プログラム期間中(2/12~3/26)の毎週木曜日に本郷キャンパス近くの施設で開催される定例会に参加すること(駒場キャンパスや柏キャンパスに通う学生からの応募も歓迎します)
  • 定期的にメンタリングを受けること
  • 基本的にはすべてのプログラム活動に参加できること(1回程度の欠席のみ可)。特にプロトタイプデー、中間発表、最終発表にはリーダーが参加できること
  • 課題領域によっては、紹介する NPO などを通して現場に出て、社会課題と触れる経験を積むこと
  • プログラムの様子を東京大学Webサイト等で紹介することに承諾いただけること

【対象外となる方】
以下に当てはまる人は本プログラムの想定参加者よりも進んでいるため、対象外としています。

  • すでに起業(登記)をされている方
  • すでに 100 万円以上の助成金や寄付金を受け取っている方

 

なお、本プログラムはテクノロジー(ソフトウェア)を用いますが、生成 AI を使ったプロトタイプ作成を中心に行うため、ソフトウェア開発やプログラミングの経験がなくてもご参加いただけます。(むしろプログラミング未経験者向けのプログラムです)
個人での応募もチームでの応募も受け付けます。

提供するもの

  • 活動拠点・作業場所の利用権(本郷キャンパス近く)
  • 定期的な勉強会と相談会への参加権
  • 同じバッチで切磋琢磨する仲間
  • 期間中のプログラミングツールの資金

場所

本郷キャンパス近く(合格者のみに通知)

スケジュール

毎週木曜 18:30 ~ 20:00 に定例会議を実施します。(最終発表会のみ別の日時で行います)

Week 講義
2/12 (木) オリエンテーション / Social Tech 概要
プロトタイピング入門
2/19 (木) Prototype Day
社会課題の再特定と深掘り+インタビュー(方法論、注意点)
2/26 (木) ピッチ準備 + プロトタイプ v2 作成
3/5 (木) 中間発表
ゲスト講師の講演
3/12 (木) 顧客獲得と資金調達
倫理、ビジョンの明確化とインパクト評価
3/19 (木) プログラム調整中
3/26 (木) 最終発表

※一部の回ではゲストの起業家をお呼びして、ゲスト講演などをしていただく回もある予定です。
※プログラム内容は一部変更となる場合があります。

プログラムの目標

本プログラムは研修プログラムのため、参加者の学生の皆さんが活動によって得られる『学び』を最大化することを第一の目標としています。

学びを最大化するには本気でアイデアに取り組むことが重要です。そこで本プログラムでは、皆さんが本気で社会課題に向き合う機会を提供し、アイデアを進めて成果を作ることで、補助金や寄付を得て事業を継続することを目指します。

事業の継続は必須ではありません。むしろ、見込みのないアイデアだという学びが得られれば、アイデアは早期に中断し、別のアイデアに取り組むことをお勧めしています。

選考プロセス

申し込みフォームに入力いただいた内容と面談を通して選考を行い、1月26日までに結果をお伝えします。

アイデアはなくても構いません。プログラムの方向性と、皆さんの興味関心や領域が合致するかどうかを中心に確認をさせていただきます。
なお、プログラミングの経験よりも、社会課題への興味関心や意欲を高く評価します。

想定する対象領域

以下はあくまで例であり、そのほかの領域も広く受け付けています。ただし営利型の事業での解決のほうが向いていると判断した事業は対象となりません。

  • 格差
  • 貧困
  • 自殺
  • ハラスメント
  • マイノリティ支援
  • 孤独
  • 難民
  • 気候変動
  • 地域格差
  • 地域コミュニティ
  • 政治参加
  • 医療(特に予防医療、公衆衛生、過疎地、救急医療等)
  • 教育(特に恵まれない層)

例には山火事アプリの Watch Duty や、セクハラ対策アプリの Callisto などがあります。
その他の例としては、Tech Nonprofit サービス一覧などもあります。その他、休眠預金等活用法で指定された「優先的に解決すべき社会課題」や JANPIA の note なども参考にしてください。

※営利目的での実施が向いている事業は本プログラムの対象外としています(例えば富裕層向けの教育や観光など)。

想定する技術と解決策

  • 生成 AI での開発がしやすい「Web サービス」を想定しています。
  • ソフトウェアは、製品要求仕様書 (Product Requirements Document: PRD) を自然言語で書き、生成 AI を通してプロトタイプを生成することを想定しています。
  • 生成 AI を使って製品を完成させることは想定していません。プロトタイプを作り、次の資源獲得につなげることをゴールとしています。現在の生成 AI の性能を鑑み、70% 程度のものを作る、とお考えください。
  • ブロックチェーンや AI、医療機器等の先進技術等、技術的リスクのあるものは今回は対象外とします。
  • マッチングプラットフォームは、2 種類の顧客の開拓が必要なため、あまりお勧めしていません。

主催者の期待するアイデア

以下はアイデアの例です。これらのアイデアを選ぶ必要はありませんが、アイデアの方向性の参考にしていただければと思います。

  • Callisto のようなセクハラ防止アプリ
  • Food Rescue Hero のような、食事に困る人たち向けのリアルタイムフードシェア
  • 無償で運用・更新を行う奨学金リスト
  • 汎用的な Quadratic Voting システムの開発による投票プロセスの改善

プログラムの概要と独自性

本プログラムは、これまでのプログラムでは包摂しづらかった社会課題に取り組む方々を対象としたプログラムです。そのため、よくある起業支援プログラムと異なる点が多いので、応募前にご確認ください。
いわゆるスケールするビジネスを目指す「スタートアップ」向けのプログラムではないのでご注意ください。下記の比較表を参考にしてください。

  よくある起業プログラム 本プログラム
取り組む課題 営利企業の課題 受益者負担が難しい社会課題、受益者が薄く広がる構造を持つ社会課題、将来世代への予防的な社会課題
解決策 先端技術(営利企業の場合) 枯れたソフトウェアを使ったサービス
資金調達 銀行やベンチャーキャピタル 助成金や寄付(ときどき銀行)
起業時の法人格 株式会社 NPO 法人、一般社団法人
事業目標 企業としての上場、あるいは永続化 エンドゲームのいずれか

FAQ

Q. 採択チームは何チームですか?
A. 最大で 7 ~ 10 チーム程度を想定しています。
Q. ほかのコンテストなどに出したものでも応募できますか?
A. はい、応募可能です。
Q. 過去Batchの参加者はもう一度応募できますか?
A. 過去Batchの参加者は別のアイデアであれば応募可能です。
Q. 途中で退出することはできますか?
A. はい、可能です。
Q. 木曜日の 18:30に予定が入っています。参加できませんか?
A. 木曜日の 18:30に予定が入っている方は申し訳ありませんが、次回バッチの開催までお待ちください。
Q. ほかの活動やインターンと並行して受けられますか?
A. はい、ただし一定以上の時間をかけていただくことが前提のプログラムとなっています。
Q. 企業や会社設立が必須ですか?
A. いいえ、必須ではありません。
Q. ビジネスプランは必要ですか?
A. いいえ、必要ではありません。また、営利型のビジネスは基本的には想定していません。
Q. 複数のアイデアの応募は可能ですか?
A. いいえ、できません。
Q. チームでの参加は必須ですか?
A. いいえ、必須ではありません。しかし、なるべくチームで活動いただくことをお勧めしています。プログラム参加後に誰かと一緒に取り組んでいただくことも可能です。
Q. 採択されなかった理由を教えてくれますか?
A. 簡単にお伝えするつもりですが、詳細なフィードバックは時間の関係上行うことができませんのでご容赦ください。
Q. プログラムの退出の条件を教えてください
A. 以下の条件に該当したチームは本プログラムのスコープから外れるため、プログラムから退出いただきます。
  • 営利が主要目的になった場合
  • 営利型の事業のほうが相性が良いと判断された場合
  • 施設利用に違反があった場合

主催: 東京大学 産学協創推進本部

馬田 隆明

日本マイクロソフトを経て、2016年から東京大学。東京大学では本郷テックガレージの立ち上げと運営を行い、2019年からFoundXディレクターとしてスタートアップの支援とアントレプレナーシップ教育に従事する。スタートアップ向けのスライド、ブログなどで情報提供を行っている。著書に『逆説のスタートアップ思考』『成功する起業家は居場所を選ぶ』『未来を実装する』『解像度を上げる』『仮説行動』。

玄正 慎

2014年に救急救命スタートアップのCoaido株式会社を創業。経済産業省 第3回 IoT Lab Selection グランプリ受賞。2017年に一般社団法人ファストエイドを創業。ペットボトルを活用した手軽な心肺蘇生訓練キット「CPRトレーニングボトル」を開発し、2021年度グッドデザイン・ベスト100受賞。2022年にCoaidoは事業終了。2022年よりREADYFOR株式会社に入社。休眠預金活用事業のプログラムオフィサーとして非営利団体への伴走支援を行っている。

問い合わせ先

東京大学産学協創推進本部スタートアップ推進部
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