東京大学知的財産関連補償金支払細則

(平成18年1月16日東大規則第45号)

第1章 目的

(目的)

第1条 本細則は、東京大学発明等取扱規則(以下「発明等規則」という。)第23条から第27条、東京大学著作物等取扱規則(以下「著作物等規則」という。)第14条及び第16条、東京大学商標取扱規則(以下「商標規則」という。)第6条の3、並びに東京大学ノウハウ取扱規則(以下「ノウハウ規則」といい、発明等規則、著作物等規則及び商標規則と併せて「知的財産関連規則」という。)第9条及び第11条の規定に基づき、補償金の支払に関し必要な事項を定めることを目的とする。

(定義)

第2条 本細則における用語の定義は、次の各号に定めるところによる。

(1) 「知的財産権」とは、次に掲げるものをいう。

イ 特許法に規定する特許権、実用新案法に規定する実用新案権、意匠法に規定する意匠権、商標法に規定する商標権、半導体集積回路の回路配置に関する法律に規定する回路配置利用権、種苗法に規定する育成者権及び外国における上記各種権利に相当する権利

ロ 特許法に規定する特許を受ける権利、実用新案法に規定する実用新案登録を受ける権利、意匠法に規定する意匠登録を受ける権利、商標法に規定する商標登録出願により生じた権利、回路配置利用権の設定の登録を受ける権利、品種登録を受ける権利及び外国における上記各権利に相当する権利

ハ 著作権法に規定するプログラムの著作物及びデータベースの著作物に係る著作権並びに外国における上記権利に相当する権利

ニ 秘密性を有し、適当な形で特定・識別され、かつ財産的な価値を持つ一群の技術情報(以下「ノウハウ」という。)

(2) 「教職員等」とは、知的財産関連規則に規定する教職員等をいう。

(3) 「その他の研究者等」とは、知的財産関連規則に規定するその他の研究者等をいう。

(4) 「権利者」とは、知的財産関連規則に基づき、知的財産権を国立大学法人東京大学(以下「大学法人」という。)に承継又は譲渡した教職員等及びその他の研究者等をいう。

(5) 「必要経費」とは、大学法人が知的財産権の出願、登録及び維持保全並びに技術移転活動のために負担した費用等をいう。

 

第2章 補償金

(登録補償金)

第3条 大学法人は、大学法人が発明等規則に定める知的財産権を承継し、これが登録になったときは、当該知的財産権の発明、考案、育成、創作、登録又は案出を行った権利者に対し、別表に定める登録補償金を支払うものとする。

2 前項の知的財産権が2か国以上において登録等された場合については、当該国毎に前項の登録補償金を支払うものとする。

(譲受補償金)

第4条 大学法人は、大学法人が知的財産関連規則に定める知的財産権を権利者から譲り受けたときは、当該知的財産権の発明、考案、育成、創作、登録又は案出を行った当該権利者に対し、別表に定める譲受補償金を支払うものとする。

(実施補償金)

第5条 大学法人は、大学法人が知的財産関連規則に定める知的財産権を承継又は譲り受け、当該知的財産権の実施又は処分等により収入を得た場合において、各規則の定める補償金の権利者に対し、大学が負担した必要経費を控除した額の40%の額の補償金を支払うものとする。

2 前項における「当該知的財産権の実施又は処分等により収入を得た場合」には、損害賠償請求等の当該知的財産権に関する権利行使により当該知的財産権の譲渡又は実施許諾に準じる収入を得た場合、その他当該知的財産権に起因すると認められる収入を得た場合を含むものとする。

3 東京大学におけるライセンスに伴う株式等取得取扱規則により、大学法人が知的財産権の実施許諾等の対価を株式等(新株予約権及び新株予約権付社債を含む)で取得した場合、当該株式等が換金された時点で第1項の収入を得たと認識するものとする。

 

第3章 補償金の算定方法

(実施補償金の算定)

第6条 実施補償金の算定は、事業年度(4月1日から翌年3月31日まで)毎に行う。

2 大学法人は、各事業年度終了日における知的財産権の実施又は処分等による収入の累計額が当該知的財産権の必要経費の累計額を上回った場合、当該権利者に対し実施補償金を支払うものとする。

3 前項により実施補償金が支払われた場合において、当該実施補償金が支払われた対象事業年度までの収入及び必要経費の累計額は、当該年度において相殺されたものとみなし、次年度以降については新たに生じた収入及び必要経費に基づいて前項の規定を適用するものとする。

4 前3項において、権利者に支払う実施補償金の算定額が千円未満の場合は、次年度以降に繰り越すことができるものとする。

(共有権利者に対する補償金の算定)

第7条 第3条から第5条までの規定に基づく補償金の算定において、権利者が2名以上ある場合は、当該権利者の本学における持分割合に応じて行うものとする。

2 前項にかかわらず、当該補償金の分配について事前に全権利者の特段の同意がある場合には、その分配比に応じて支払うことができるものとする。

(複数の権利の一括技術移転の際の補償金の算定)

第8条 大学法人が複数の知的財産権を一括して技術移転した場合(以下、本条において「一括技術移転」という。)、それぞれの知的財産権の収入は、大学法人の得た収入総額を当該一括技術移転に対する各知的財産権の貢献度で按分した金額とする。この場合において、当該貢献度は、全権利者の同意による事前の定め又は契約等による別の定めがない限り、各知的財産権が均等であるものとみなす。

2 前項において、各知的財産権における大学法人の持分が異なる場合には、同項の貢献度に当該大学法人の持分を乗じた比率で収入総額を按分するものとする。

3 前2項の規定は、知的財産権毎に分配できない必要経費の算定についても適用する。

4 一括技術移転の対象となる知的財産権の構成が技術移転期間中において事後的に変化した場合、技術移転先が実施料等を支払う事由の発生した時点における知的財産権の構成に対して第1項及び第2項の収入配分を行うものとする。ただし、契約等により別の定めがある場合はこの限りでない。

5 前項の実施料等が、特定の期間の継続的な実施に対して技術移転先から支払われる実施料である場合は、各構成の占める期間(月単位)に対応する収入を実施料報告書等の情報に基づき算定し、構成毎に第1項の収入配分を行うものとする。ただし、月単位の収入の情報がない場合は、当該収入が各月に均等に発生したものとみなす。

6 前項の算定において、新たな知的財産権が一括技術移転の対象に組み入れられた場合、契約等により当該知的財産権が組み入れられた月の初めから組み入れられたものとみなす。

7 第5項の算定において、一括技術移転の対象となった知的財産権の一部が出願取下げ、拒絶査定の確定、無効審決の確定、若しくは権利の放棄等により消滅した場合、又は契約等により一括技術移転の対象から除外された場合、翌月初めから当該知的財産権が一括技術移転の対象から外されたものとみなす。

8 一括技術移転の対象に外国における知的財産権が含まれる場合については、当該国毎に1つの知的財産権として本条の規定を適用する(ただし、特許協力条約に基づく国際出願にあっては、各指定国における国内移行手続を行う以前の期間、及び、欧州特許の付与に関する条約に基づく欧州特許出願にあっては欧州特許権を付与する旨の公告がなされる以前の期間については、当該出願を1つの知的財産権とみなす)。

(優先権主張等を行った場合の補償金の算定)

第9条 大学法人が優先権主張等を伴う出願等を行った場合の第3条から第5条までの規定に基づく補償金の支払においては、当該優先権主張等を伴う後の出願等に係る知的財産権全体(基礎となる先の出願等に記載された知的財産権であって、当該優先権主張等の対象となる知的財産権を含む)の持分について第7条の規定を適用する(ただし、基礎となる先の出願等がみなし取下の規定の対象にならない場合は本条の限りでない)。

2 前項の場合、優先権主張等を伴う出願等の基礎となった出願等に要した必要経費は、当該優先権主張を伴う出願等の必要経費として取り扱うものとする。

3 前2項の規定は、複数の優先権主張等を伴う出願等を行った場合についても適用する。

 

第4章 補償金の支払方法

(状況通知)

第10条 大学法人は、知的財産権が登録されたとき、又は知的財産権の実施又は処分等により収入があったときは、当該権利者に対し補償金等について通知するものとする。

2 権利者は、大学法人の指示に従い、前項の通知の宛先を指定するものとする。権利者は、通知の宛先を変更する場合には、大学法人所定の様式により届け出るものとする。

(補償金の支払手順)

第11条 大学法人は、第3条から第5条までの補償金を権利者からの請求に応じて、次項の振込送金の方法により支払うものとする。

2 権利者は、大学法人の指示に従い、補償金の振込先口座を指定するものとする。振込先口座は、日本国内の口座とする。ただし、日本国内の口座開設・維持が困難と認められる場合は、この限りでない。

3 権利者は、前項の振込先口座を変更する場合には、所定の事項を記入した書類及び付随する必要関係書類を提出するものとする。

4 大学法人の責によらず、権利者の指定した振込先口座に補償金を振り込めない場合、大学法人は、当該補償金の支払を留保できるものとする。

5 前項において、当該補償金の時効が成立するまでに権利者から請求があった場合には、大学法人は、当該補償金を支払うものとする。

(補償金の支払時期)

第12条 大学法人は、原則として補償金の支払事由が発生した年度の翌年度末までに、権利者に対して当該補償金を支払うものとする。

(補償金請求権の承継人又は転退職等により学外者となった権利者に対する補償)

第13条 本細則は、権利者の有する補償金の支払を受ける権利を承継した者及び転退職等により学外者となった権利者に適用する。

2 前項の補償金の支払を受ける権利を承継した者は、承継を証明する書類及び所定の事項を記入した書類を提出することにより、当該権利を承継したことを届け出るものとする。

 

第5章 その他

(部局への分配)

第14条 異なる部局に所属する権利者が2名以上ある場合の各部局への分配金は、当該権利者の持分に応じて、それぞれ該当部局に対して分配することができるものとする。

2 その他の研究者等の持分について、関連部局への分配金の分配が相当と認められる場合にあっては、大学法人はその取扱について、当該その他の研究者等の意見を聞くことができるものとする。

(学外研究者又は学外機関等への適用)

第15条 大学法人は、教職員等及びその他の研究者等以外の者から知的財産権を承継又は譲り受けた場合において、産学連携本部知的財産部(以下「知的財産部」という。)が必要と認めた場合は、本細則を適用することができる。

2 大学法人以外の機関から知的財産権を承継又は譲り受けた場合において、知的財産部が必要と認めたときは、特段の取り決めがない限り、当該機関にあっては、第4条に規定する譲受補償を行い、また、当該機関に所属する発明者にあっては、第3条に規定する登録補償及び第5条に規定する実施補償を行うことができる。

3 前2項において、関連部局への分配金の分配が相当と認められる場合にあっては、大学法人は、当該取扱について、譲渡者の意見を聞くことができるものとする。

(知的財産部に対する異議申し立て)

第16条 権利者は、補償金の支払等に際し異議がある場合は、知的財産部に対し、異議を申し立てることができる。

(その他の事項)

第17条 本細則に定めるもののほか、必要な事項については、産学連携本部長が別に定めるものとする。


附 則

この細則は、平成18年1月16日から施行し、平成16年4月1日から適用する。

附 則

この細則は、平成19年1月30日から施行する。

附 則

この細則は、平成25年4月1日から施行する。


別表

知的財産権 登録補償金 譲受補償金
特許権
特許を受ける権利
20,000円に大学法人の持分を乗じた額 権利化・維持のために、それまでに要した必要経費相当額
実用新案権
実用新案登録を受ける権利
10,000円に大学法人の持分を乗じた額 同上
意匠権
意匠登録を受ける権利
10,000円に大学法人の持分を乗じた額 同上
育成者権
品種登録を受ける権利
10,000円に大学法人の持分を乗じた額 同上
回路配置利用権
回路配置利用権の設定の登録を受ける権利
10,000円に大学法人の持分を乗じた額 同上
著作権 10,000円に大学法人の持分を乗じた額、及び登録等それまでに要した必要経費相当額の合算額
商標権 権利化・維持のために、それまでに要した必要経費相当額
ノウハウ 10,000円に大学法人の持分を乗じた額

備考 著作権に関する支払事由は、著作物を有償で提供若しくは利用の許諾をしたとき、又は著作権を有償で譲渡したときとする。


了 解 事 項

 平成16年3月31日以前の発明等により大学法人が収入を得た場合であって、かつ法人化後新たな必要経費が発生していない場合における実施補償金の発明者への分配は下記のとおりとする(平成15年1月29日付け14文科振第718号文部科学大臣決定「文部科学省の職員の職務発明等に対する補償金支払要領」に準じる)。

 収入- 発明者への分配

 ・100万円以下の場合  -  収入×50/100

 ・100万円を超える場合 - (収入-100万円)×25/100 +50万円

発明者等に分配後、残額を当該発明等の届出を受理した部局と知的財産部で等分する。