東京大学ノウハウ取扱規則

(平成16年12月17日東大規則第263号)

第1章 目的

(目的)

第1条 本規則は、国立大学法人東京大学(以下「大学法人」という。)の教職員等が案出したノウハウの取扱いについて規定し、その案出者としての権利を保障するとともに、ノウハウの案出及び利用を促進し、大学における研究成果の社会還元の振興に資することを目的とする。

 

第2章 定義

(定義)

第2条 本規則において、次に掲げる用語は、次の定義によるものとする。

(1) 「ノウハウ」とは、秘密性を有し、適当な形で特定・識別され、かつ財産的な価値を持つ一群の技術情報であって、特許及び著作物では包含されない知的財産をいう。

(2) 「職務関連ノウハウ」とは、ノウハウのうち、大学法人が承継若しくは譲渡を受けた、又は大学法人に帰属する特許権、著作権若しくは成果有体物(以下「特許権等」という。)のライセンス又は提供に不可欠なノウハウであって、特許権等と組み合わされることによって技術移転される知的財産の利用価値又は総体的財産価値が高まることを可能とするノウハウをいう。

(3) 「その他のノウハウ」とは、ノウハウのうち、職務関連ノウハウに該当しないものをいう。

(4) 「教職員等」とは、次に掲げるものをいう。

イ 大学法人の役員、常勤教職員、特定有期雇用教職員、再雇用教職員、短時間勤務有期雇用教職員及び特定短時間勤務有期雇用教職員

ロ その他の者であって、職務関連ノウハウにつき契約がなされている者

(5) 「その他の研究者等」とは、教職員等以外の者であって、教育、研修及び研究を目的として本学が受け入れているものをいう。

 

第3章 権利の帰属

(ノウハウの帰属)

第3条 大学法人は、教職員等の案出したノウハウのうち、職務関連ノウハウについては、当該特許権等のライセンス又は提供に不可欠なノウハウを特定・識別した上で、その権利を承継することができる。

2 大学法人は、その他の研究者等の案出したノウハウのうち、職務関連ノウハウについては、当該特許権等のライセンス又は提供に不可欠なノウハウを特定・識別した上で、その他の研究者等の同意を得て、その権利を承継することができる。

3 ノウハウのうち、その他のノウハウについては、原則として、案出者である当該教職員等又は当該その他の研究者等に帰属するものとする。ただし、案出者である当該教職員等又は当該その他の研究者等は、その他のノウハウが特許権等に関連なく単独で財産的価値を有するような場合等において、大学法人が譲り受けることを求めることができる。

(退職後の取扱い)

第4条 教職員等が本学を退職した場合においても、在職中の職務関連ノウハウに該当する場合の取扱いは、本規則によるものとする。

 

第4章 処理手続

(ノウハウの処理)

第5条 本規則に定めるノウハウの処理は、産学連携本部知的財産部(以下「知的財産部」という。)が、これを行う。

(職務関連ノウハウの特定・譲渡)

第6条 教職員等又はその他の研究者等は、職務関連ノウハウについて、特許権等のライセンス又は提供時に、知的財産部から職務関連ノウハウにつき譲受の申し出があった場合には、当該職務関連ノウハウを特定・識別し、別に定める様式より、知的財産部にノウハウ譲渡書を提出するものとする。

2 教職員等又はその他の研究者等は、当該職務関連ノウハウのすべての案出者を明確にするとともに、当該職務関連ノウハウが第三者のノウハウを利用している場合は、それに関する情報を添付しなければならない。

(その他のノウハウの特定・譲渡)

第7条 第3条第3項の規定により、その他のノウハウを大学法人が譲り受けることを求める教職員等又はその他の研究者等は、当該その他のノウハウを特定・識別し、別に定める様式により、速やかに所属する部局を通じて、知的財産部に届け出るものとする。

2 教職員等又はその他の研究者等は、当該その他のノウハウのすべての案出者を明確にするとともに、当該その他のノウハウが第三者のノウハウを利用している場合は、それに関する情報を添付しなければならない。

3 知的財産部は、第1項の案件送付があったその他のノウハウにつき、当該その他のノウハウを大学法人が譲渡を受けることの要否を決定し、当該教職員等又は当該その他の研究者等に通知する。

4 教職員等又はその他の研究者等は、大学法人が当該その他のノウハウの譲渡を受けると決定したときは、別に定める様式によりノウハウ譲渡書を知的財産部に提出しなければならない。

(異議申し立て)

第8条 教職員等又はその他の研究者等は、第6条の譲渡又は前条の決定に異議があるときは、譲受の申し出又は決定の通知を受けた日から2週間以内に異議を申し立てることができる。異議申し立ての処理手続きは、東京大学発明等取扱規則(平成16年東大規則第130号)第19条の規定に準じて行う。

(譲受補償)

第9条 大学法人は、第7条の規定によりその他のノウハウの譲渡を受けたときは、当該その他のノウハウを案出した教職員等又はその他研究者等に対し、別に定める補償金を支払うものとする。

(権利の保護と技術移転)

第10条 知的財産部は、職務関連ノウハウ及び譲渡を受けたその他のノウハウを適切に保護し、その活用を推進するために必要と判断したときは、適切な技術移転を行う。

2 知的財産部は、第1項の権利を保護するために法的手段を講じることができる。

3 知的財産部は、第1項の業務の全部又は一部をTLO等の第三者に委託することができる。

(利益収入による補償の扱い)

第11条 大学法人は、譲渡を受けた職務関連ノウハウのライセンス等により利益収入を得た場合は、当該職務関連ノウハウと連結してライセンス又は提供される大学帰属の特許権等の収入分配規定(東京大学発明等取扱規則第24条から27条まで、東京大学成果有体物取扱規則(平成16年東大規則第237号)第12条、又は東京大学著作物等取扱規則(平成16年東大規則第236号)第15条)に準じて、収入を分配する。

2 大学法人は、譲渡を受けたその他のノウハウのライセンス等により利益収入を得た場合は、東京大学発明等取扱規則第24条から第27条までの規定に準じて、収入を分配する。

 

第5章 雑則

(本規則の改廃)

第12条 本規則の改廃は、教育研究評議会の審議を経て行う。

(既存の契約)

第13条 本規則の施行前に締結された契約により、ノウハウの取扱いが合意されている場合は、当該契約の合意事項に従う。

(既存の職務関連ノウハウ)

第14条 本規則の施行前に作成された職務関連ノウハウの取扱いは、教職員等の判断による。ただし、当該職務関連ノウハウが、本規則の施行後第3条に該当する事態が発生した場合、又は本規則の施行後に大幅な改造が施された場合は、本規則施行後に案出された職務関連ノウハウに準じた扱いとする。


附 則

この規則は、平成16年12月17日から施行する。

附 則

この規則は、平成17年4月1日から施行する。